チック症・トゥレット症候群
▮チック症の原因・対処法・治療方法
お子様を持つ大人の方は、チック症を知っている人は多いと思います。
お子様を通じての親同士の繋がりもあり、チックについて話を聞くことも多くあると思います。
その話の内容は
「気にしないようにしていれば数か月でなくなる」「成人するまでに治まる」
この様な内容が多いと思います。
お同じ子を持つ親の言葉はとても参考になること思いますが、チックは必ず自然と治まるものと思っていませんか?
チック症は必ず成人する前に治まるとは限りません。
チック症は更に悪化すると成人後の社会生活に悪影響を与えたり、他の合併症も引き起こすことが多くあります。
こちらではチック症について正しく知って、決して軽視することがないよう簡単に説明しますので、
大切なお子様が明るい生活・未来に歩めるよう、少しでも役立ててください。
★チック症とは
チック症とは、まばたき・首振りなどの動作、アッアッやヒュなどの発声や咳払いなどの症状で、一見すると癖のようにも見える、自分の意思とは無関係に突発的・不規則的に体の動き・声の発生をおこなう症状。
幼児期から青年期の4歳~18歳までに発症し、10歳までに発症することが多く、脳と脳神経の障害と考えられています。
2022年の調査では、10人に2~3人は発症。
男女比では男子7:女子3と男子が多く発症しています。
チック症は95%で発症後の数か月から1年以内に治まると以前は考えられていましたが、現在は80%で治まると言われています。
チック症は、悪化すると他の合併症を複数引き起こしたり、難病のトゥレット症候群と認定されます。
トゥレット症候群は、チック症が悪化して認定されますが1000人に4~6人いると言われています。
またトゥレット症候群に認定されていないチック症の悪化している人は、その数十倍いると言われています。
★チック症の症状
チック症は音声チックと運動チックの二つに分類され、更に単純性チックと複雑性チックに分けられる。
チック症の最初に現れる症状は、まばたきなどの単純性運動チックが一番多く、運動チック・音声チックのどちらか一つの症状が最初に現れます。
またチックの症状は、まばたきから顔をしかめる、運動チックから音声チックへと変化する、などと変化することが殆どです。
チック症は発症後、一年以内に治まる暫定的チックがほとんどですが、一年を超えると以下の分類に分けられる。
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運動チックか音声チックの一方のみが一年以上続く場合は【継続性チック(慢性チック)】
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運動チックか音声チックの一方のみが現れたり消えたりを一年以上続く場合は【再発性チック】
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運動チックと音声チックの両方の症状が一年以上続くと【トゥレット症候群】
トゥレット症候群の中でも複雑性チックの場合、自閉症・強迫障害・対人恐怖症・うつ病などの合併症を引き起こすこともあり、不登校や引きこもり、成人しての社会生活が困難な状態になることも多い。
※トゥレット症候群で日常生活が困難な場合、障害者認定を受けて暮らことも多い。
★チック症の原因
チック症の原因は現代の医学でも解明はされていません。
昔は家庭環境や親の子育てに原因があると考えられていましたが、現在は一切関係ないことが判明しています。
もしも周囲の人に「家庭の環境が悪かったから」「子育てが悪かったから」など言われても気に病む必要はありません。
昔はチック症について研究があまり行われていなかったことで、医師ですら親に問題があるかのように伝えることもあり、それらの誤った認識を持っている人がいるだけと考えてください。
現在考えられている原因は、遺伝的要因や成長期のストレスによるものと考えられていますが、その因果関係は分かっていません。
つまり仮説がほとんどで、なぜチック症になるのかは現代医学でも判明していません。
しかしチックの症状を引き起こしているのは脳にあることは分かっています。
おもに大脳に張り巡らされているドパミン神経と神経伝達物質のドパミンの働きが正常に機能していないことが分かっています。
特に大脳基底核のドパミン神経が影響していると考えられています。
神経伝達物質のドパミンは、神経細胞同士を繋いで信号を送るべきところに届ける重要な物質。
このドパミンの働きを調整しているセロトニンも正常に機能していない可能もあります。
チック症やトゥレット症候群で処方される薬が、神経伝達物質のドパミンやセロトニンに対しての薬であるのは、そのことからです。
★チック症の対応
チックの症状が最初に出ても本人は気が付きません。
親や周囲の人、学校での友達・教師からの指摘で症状に気が付きます。
チック症の原因でストレスがあると言われていますが、ストレスはチック症が治まる期間を延ばしたり、悪化する影響が高いと考えられています。
そのことからも子供にチックの症状があったら、気が付かないように接することが最初に求められます。
ですが子供がチックの症状に気が付かないで終わることは少ないのが現状です。
たいていの場合、友達や周囲の人に指摘されて気が付いてしまします。
子供がチックの症状に気が付いたら、以下の事をおこない子供がチックの症状を気にしない環境を作ってください。
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チックの症状が出ても伝えたり指摘をしない
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普段通り接する
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チックの症状の変化に気を配る
たったこれだけ?
と思うかもしれませんが、子供は家族とずっと一緒にいません。
学校にいるときは、この環境を作ることは非常に難しいのです。
もしも学校で友達にチックのことを何度も言われたり、嫌な思いをしている話を聞いたら学校に相談することも必要となります。
過去には学校の先生がチックの症状を何度も指摘するなど、チック症についての知識が不足した対応を取ったなどの事例もあります。
酷い話では、父兄参観日に音声チックの子が「アッアッ!」と声を発したところ、「この教室には動物みたいな子がいますが気にしないようにね」と多くの親の前で言った先生もいます。
最近ではチック症について対応方法を学んでいる先生も多く、同じ対応を取ることはないと思いますが、学校や先生がどのような対応の取り組みをおこなっているか、訊ねてみることも良いかもしれません。
チック症の対応には、やってはいけないことや注意する点があります。
【やってはいけないこと】
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チックの症状が出て叱る
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チックを我慢させる
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効果があると聞いたことを無理やり子供におこなう
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気にするからだよ。や、気にしすぎだよ。を何度も言う
子供は大人と違い純粋で敏感です。
ほんの一言いわれただけでもチックを気にして大きなストレスとなります。
複雑性チックやトゥレット症候群になった子供は、これらが引き金となったことが多くあります。
【注意する点】
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チック症の症状の変化
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子供が自ら症状を抑えていないか
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人目を気にする、人と会うのを避ける
チック症は通常、自然と治まるか経過観察が基本となります。
もしも症状が悪化した可能性や過度なストレスを抱えていると感じたら、早めの医療機関への受診や治療を検討して下さい。
チック症は最善と思える対応をおこなっても、一年以上治らず成人しても症状が続くこともあります。
また社会生活に大きな支障が出てしまうほどのトゥレット症候群になることもあります。
チック症に子供がなったら、少しでも子供の笑顔を過去の記憶にならないよう軽く考えないで下さい。
★チック症の治療方法
現在の医学ではチック症やトゥレット症候群を完全に治す治療はありません。
それぞれの治療は一定の効果が見込める治療となっています。
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心理教育・カウンセリング
本人や家族、学校など周囲に関わる人々にチック症の理解を図り、ストレスの軽減につながる環境を作る。
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薬物療法
運動チックや音声チックの双方の症状が出たり、複雑性チックの症状がみられる場合には薬物を使い症状の緩和をおこないます。
チック症に対する薬はなく、処方される薬は主に抗不安薬・抗うつ薬・気分安定薬などあります。
処方される薬は、ドパミンを抑制したりする薬が中心で副作用にも注意が必要となります。
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認知行動療法
症状が出やすい環境で、その時の感情や何を感じたのか、何を認識したのかなどの認知の流れを知り、認知の流れを調整してストレスの軽減を図ります。
認知行動療法は、訓練も必要で小さい子供には不向きな治療でもあります。
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催眠療法
変性意識状態の意識変化で、ストレスを感じにくい意識を持たせたり、チック症の症状が治まる暗示を与えて症状を抑える。
変性意識状態の意識変化による脳内神経やドパミンの働きに影響を与え正常化を図る。
海外では有効な治療とされているが、小さい子供やトゥレット症候群の重症者に対しては変性意識状態の誘導が難しいと言われている。
催眠療法は効果の個人差もあり短期間で治ることもあれば、効果が見られないこともある。
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外科手術
大脳基底核に電極版を埋め込み、微弱な電流を一定のリズムで流して脳活動に変化を与える。
トゥレット症候群の重症者に対する治療ですが、めまいや吐き気などの副作用もある。
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その他
漢方薬による治療もあるが、小さい子供には薬の効果よりも漢方の味を嫌い、無理して飲むことでストレスが増加することもある。
音声チックに対しては、特殊なマウスピースで症状を抑える治療もあるが、日本にはなく海外での治療が必要となる。